三河みりん

杉浦味淋株式会社

三河みりんの特徴とは?甘み・香り・コクの秘密を探る

みりんを口にすると、まず「甘い」と感じます。でも僕は、その一言だけで終わらせるのはもったいないと思っています。米から生まれる甘み、麹の働きで生まれるうま味、熟成で変わっていく香りと色。そこまで見ていくと、同じみりんでも一つひとつ違う表情があることが分かります。

甘みは、米のでんぷんがほどけて生まれます

本みりんでは、蒸したもち米のでんぷんに米麹の酵素が働き、糖へ変えていきます。だから、砂糖を溶かした甘さとは少し違います。僕はこの甘みを説明するとき、ただ「甘い」ではなく、「米が時間をかけて甘くなっていく」とお話しします。みりん屋として、この変化を見ていると、米という原料の面白さを改めて感じます。

コクは、甘みとうま味が重なってできます

米麹の酵素は、でんぷんだけでなく米のたんぱく質にも働き、アミノ酸などの成分が生まれます。そのため、みりんの味は甘さ一辺倒ではありません。醤油やだしと合わせたときに、角が取れたり、味がまとまったりするのも、この重なりが関係しています。

香りと色は、熟成の中で育っていきます

熟成が進むと、みりんの色は深くなり、香りも変化します。若いみりんの軽やかさもあれば、長く寝かせたみりんには、黒糖、カラメル、穀物、ドライフルーツを思わせるような香りを感じることもあります。感じ方に正解はありません。僕は「まず舐めてみる」。甘いのか、酸っぱいのか、辛いのかは、実際に口にしなければ分からないと思っています。

愛櫻の三年熟成は「売れ残り」から生まれました

今では愛櫻の特徴になっている真っ黒な三年熟成ですが、最初から狙って造ったものではありません。一年熟成がなかなか売れず、在庫として残って三年目に真っ黒になった。業界の先輩からは「こんな黒いものは嫌がられる」と言われました。でも僕が味見をしたら、一年ものとは違う深い甘みとうま味がありました。見た目だけで捨てず、舐めて確かめたから生まれた商品です。僕にとって熟成とは、時間がつくる変化を受け止めることでもあります。

まとめ

三河みりんの甘み、コク、香りは、米・麹・アルコールと時間の中で生まれます。僕が大切にしているのは、説明だけで分かったつもりにならず、実際に比べ、味わうことです。一年と三年でも表情は違います。ぜひ自分の舌で確かめてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 三年熟成は、なぜあれほど色が濃いのですか?

A. 熟成中に糖やアミノ酸などの成分がゆっくり反応し、時間とともに色が深くなります。愛櫻の三年熟成は、見た目が真っ黒に近くなりますが、それも熟成による個性の一つです。

Q. 三年熟成の方が一年熟成より「上」なのですか?

A. 僕はそう考えていません。一年熟成は日常の煮物や煮魚に使いやすく、三年熟成はたれ、かえし、濃い料理やスイーツなどで個性が出ます。料理との相性で選んでください。

Q. みりんの香りは、どう表現すればよいですか?

A. 正解を探さなくて大丈夫です。米、麹、黒糖、カラメル、穀物、ドライフルーツなど、自分が思い浮かべた言葉で十分です。同じ商品でも感じ方は人によって違います。

 

愛櫻を食卓で試してみたい方へ

一年熟成・三年熟成の使い方や料理例は、愛櫻レシピでご紹介しています。

愛櫻レシピを見る | 愛櫻の商品を見る

 

メモ:1年熟成は普段使いの煮物・煮魚など。3年熟成は専門店の一段上げた料理、鰻のたれ・そばつゆ、またはスイーツの砂糖の代用に適しています。

代表プロフィール

浦味淋株式会社代表取締役 杉浦嘉信杉

杉浦嘉信(すぎうら よしのぶ)
杉浦味淋株式会社 代表取締役(大将)

愛知県碧南市で1924年創業の本みりん蔵を継ぐ三代目。東京の酒類卸問屋勤務を経て27歳で家業へ入り、代表就任後、祖父・杉浦定次郎の配合メモをもとに本みりんを復刻。現在は「愛櫻」ブランドで1年・3年熟成みりんを製造する。「愛桜心得」「和味創造」「顔の見える造り手・売り方」を大切にし、展示会、SNS、講演、蔵見学を通じて三河みりんの魅力を伝えている。