三河みりんとは?特徴や歴史をわかりやすく解説します
「三河みりんって、普通のみりんと何が違うの?」。初めて名前を聞いた方には、少し分かりにくいかもしれません。三河みりんは法律上の独立した酒類区分ではなく、愛知県三河地方に根付いたみりんの歴史や醸造文化を背景にした呼び方です。まずは、米から甘みが生まれる仕組みと、三河で育ってきた背景から見ていきましょう。
三河みりんは「地域と文化」を表す呼び方
三河みりんという言葉は、酒税法上の独立した品目名ではありません。一般には、愛知県三河地方で育ってきたみりんの歴史や製造文化を表す言葉として使われています。
本みりんは、もち米、米麹、焼酎またはアルコールなどを主原料として造られる酒類調味料です。米麹の酵素がもち米のでんぷんを糖へ、たんぱく質をアミノ酸などへ分解し、甘みとうま味の土台をつくります。砂糖を水に溶かして甘くするのとは異なり、米の成分が時間をかけてほどけていくことが、みりんの味の奥行きにつながります。
みりんは、もともと「甘いお酒」でもあった
みりんの記録は戦国時代から安土桃山時代の文献にも見られます。当時は、現在のように料理だけに使われるものではなく、甘い珍しい酒として飲まれていた歴史があります。江戸時代が進むにつれて、そばつゆや蒲焼きのたれなど料理への用途も広がっていきました。
三河地方は、現在もみりんの主産地の一つです。碧南には1772年創業の蔵が現存し、みりんだけでなく白しょうゆ、味噌、たまり、清酒など、多様な醸造文化が息づいています。三河みりんを知ることは、一本の調味料を知るだけでなく、この土地で米と麹と酒を扱ってきた人たちの知恵を知ることでもあります。
料理では「甘くする」以上の仕事をする
三河みりんの役割は、甘みを加えることだけではありません。みりんに含まれる糖やアルコールは、料理の照りやつや、香り、味のなじみ、肉や魚の臭みを整える働きにも関わります。
例えば煮物なら、だしと醤油の間をつなぐような丸い甘みを加えます。照り焼きなら、最後に煮からめることで表面に光沢が出やすくなります。そばつゆや蒲焼きのたれでは、甘みとコクが醤油の輪郭を支えます。こうした複数の働きを一つの調味料で担えることが、みりんが日本の料理に長く使われてきた理由の一つです。
愛櫻では、約6か月のもろみを経て時間を重ねる
杉浦味淋株式会社は、愛知県碧南市で1924年に杉浦定次郎が創業しました。愛櫻の純米本みりんでは、蒸したもち米に米麹と焼酎を合わせ、もろみを約6か月かけて熟成させます。(通常は3か月)その後、昔ながらの佐瀬式の圧搾機で搾り、さらに一年、三年と貯蔵熟成させる商品があります。
私たちが大切にしているのは、「三河みりんは全部同じ」と考えないことです。同じ三河の蔵でも、原料、仕込み、もろみ期間、搾り方、熟成の考え方はそれぞれ違います。愛櫻も、その多様な三河みりん文化の中にある一つの蔵です。


まとめ
三河みりんは、愛知県三河地方に根付いたみりんの歴史と醸造文化を背景にした呼び方です。米・米麹・焼酎などを使い、糖化と熟成によって甘み、うま味、香りを育てていきます。まずは「甘い調味料」だけではなく、「米と麹と時間がつくる酒類調味料」と捉えると、その魅力がぐっと分かりやすくなります。
メモ:愛櫻は現在三河にあるみりん専業蔵(五蔵)の一つです。
戦後は碧南市内に二十五蔵余りのみりん蔵が存在していました。
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