新しい一年のはじまりに。「お屠蘇」とみりんのやさしい力
お正月の朝、家族でいただく「お屠蘇(おとそ)」。
ほんのり甘く、香り高いその一杯には、古くから続く願いと、身体をいたわる知恵が込められています。
お屠蘇の歴史 〜 千年以上受け継がれる無病息災の願い
お屠蘇の起源は、中国・三国時代までさかのぼります。
諸説ありますが、当時、名医・華佗(かだ)が「年のはじめに薬草を酒に浸して飲めば、一年健康に過ごせる」という考えを広めたことがはじまりとされています。
それが日本に伝わったのは平安時代。
宮中行事として取り入れられ、やがて武家、町人へと広まりました。
日本では、お正月の朝に年少者から年長者の順で飲むのが習わし。
「若い人の生命力を年長者に分ける」という意味が込められています。
現在でも、「一年の厄を払い、健康でいられますように」という願いを込めて飲まれています。

お屠蘇が身体に良い理由
お屠蘇には「屠蘇散(とそさん)」という生薬のブレンドを使います。
代表的な材料は次のようなものです:
- 山椒(さんしょう)
- 桂皮(けいひ・シナモン)
- 陳皮(ちんぴ・みかんの皮)
- 丁子(ちょうじ・クローブ)
- 防風(ぼうふう)など

これらには以下のような働きがあるといわれています。
- 身体を温める
- 血行を促進する
- 胃腸の働きを助ける
- 免疫力を高める
- リラックス効果
この屠蘇散をみりんや日本酒に浸して飲むのがお屠蘇。
本格みりんを使えば、発酵の力が加わることで、まろやかで飲みやすく、身体にもやさしい味わいになります。
みりんと屠蘇散で作る「本格お屠蘇」の作り方
とても簡単に、ご家庭で本格的なお屠蘇が作れます。
【用意するもの】(約4~5杯分)
- みりん … 180〜200ml (甘味が強いのが苦手な方は、日本酒をブレンド)
- 屠蘇散(市販)… 1包
- 清潔な保存瓶またはポット
【作り方】
- 瓶に屠蘇散を入れる
- そこへ、みりんを注ぐ
- ふたをして、8〜10時間ほど浸す(一晩が目安)
少し温めて「屠蘇釜」や小さめのおちょこに注ぐと、より香りが引き立ちます。
*ノンアルお屠蘇
お子様やアルコールが苦手な方には、お屠蘇を火にかけてアルコールを飛ばし、冷まします。
煮詰まって甘みが強すぎる場合は、お水又は炭酸水で2倍程度に薄めても飲み易くなります。
【飲み方】
1月1日の朝
家族で年少者から順番に
一人一杯ずつ、無病息災を祈りながらゆっくり味わいます
※アルコールを含むため、お子様や妊娠中の方はご注意ください。
残ったお屠蘇で楽しむ簡単アレンジレシピ
実は、お屠蘇は捨てるのがもったいない万能調味液。
甘みと薬膳スパイスの香りが、料理に深みを与えます。
① お屠蘇照り焼きチキン
【材料】
- 鶏もも肉
- お屠蘇 大さじ3
- 醤油 大さじ1
- しょうが少々
フライパンで焼いて絡めるだけで、香り高いお正月アレンジに。
② お屠蘇で林檎のコンポート
お屠蘇とレモン汁を入れて(水分が足らなければ、みりんやお水を足して)、カットした林檎をコトコト煮ます。林檎がクタッとなったら出来上がり。アイスに添えて食べるのが美味しい。
③ お屠蘇チャイ
ホットミルクティーで割りとインドのチャイのようなスパイシーティーに変身。
又は、お湯で割り、はちみつとスライスした生姜を加えると
「薬膳ホットドリンク」に早変わり。冷え対策にぴったりです。

お屠蘇とは、ただの伝統ではなく
「身体をいたわり、家族の健康を願う、やさしい習慣」。
今年のお正月は、ぜひ愛櫻純米本みりんで
大切な人と一緒にお屠蘇を楽しんでみてください。
きっと、味だけでなく「気持ち」まで、あたたかくなるはずです。


